【完全保存版】住宅ローンシミュレーションのやり方と活用法|収入減・金利上昇にも備える返済計画

住宅シミュレーション活用術

住宅ローンシミュレーションとは?

住宅ローンシミュレーションとは、住宅ローンの借入額、返済期間、金利などの条件を入力して返済額や総返済額を算出するツールです。金融機関の公式サイトや住宅ローン専門サイトで無料で利用できるものが多く、借入前に必ず試しておきたいツールです。

このシミュレーションを行うことで、「毎月の返済額がいくらになるのか?」「総返済額はどのくらいになるのか?」といった疑問を事前に確認できます。

例えば、4,000万円を35年返済、金利1.5%で借り入れた場合、月々の返済額は約12万円です。しかし、金利が2.0%に上昇した場合、月々の返済額は約13万円となり、年間12万円もの差が生じます。

金利の変動によって返済額が変わることも多いため、シミュレーションで複数の金利パターンを試すことが重要です。

なぜ住宅ローンシミュレーションが重要なのか?

現在の住宅ローン金利は低水準にありますが、将来的な金利上昇リスクを考慮しておくことが大切です。たとえば、三菱UFJ銀行の10年固定金利は2015年7月時点で1.20%でしたが、2025年5月には1.63%に上昇しています。

このように、金利が0.43ポイント上昇しただけでも、総返済額に数百万円の差が生じる可能性があります。シミュレーションを活用して、将来の金利上昇リスクに備えた返済計画を立てることが重要です。

さらに、収入が減少した場合やボーナスがカットされた場合にも対応できる返済シミュレーションを行っておくことで、より現実的な計画を立てることができます。

読者の疑問:「このままの返済額で家計は破綻しない?」

住宅ローンの返済計画を立てる際に多くの人が抱く不安は、「今の収入で本当に返済できるのか?」という点です。ローンの借入額を決める際には、収入だけでなく、生活費、教育費、車の維持費などの固定支出も含めて試算することが必要です。

例えば、家族構成やライフイベント(育休、子どもの進学など)を考慮して収入が減少した場合、現在の返済額が負担になる可能性もあります。

これらのシナリオも含めてシミュレーションを行うことで、将来の家計破綻を未然に防ぐことができます

次のセクションでは、住宅ローンシミュレーションの具体的なやり方について解説していきます。

住宅ローン返済シミュレーションのやり方:基本編

住宅ローン返済シミュレーションは、借入額、金利、返済期間を入力して毎月の返済額や総返済額を算出するツールです。これにより、自分たちの家計に合った返済計画を立てることができます。

例えば、借入額4,000万円で35年返済を想定し、金利タイプ別にシミュレーションを行ってみましょう。


シミュレーション例1:共働き世帯 固定金利 1.5%

夫婦共働きでそれぞれの収入が安定している場合、固定金利を選択することで返済額が一定となり、家計管理がしやすくなります。

シミュレーション条件:

  • 借入額:4,000万円
  • 金利:1.5%(固定金利)
  • 返済期間:35年

毎月の返済額:122,473円

総返済額:約5,144万円

固定金利は将来の金利変動に影響されず、返済額が一定で家計管理がしやすいというメリットがあります。

注意: 固定金利は金利が低いうちに借りることで安心感を得られますが、最初の金利設定が高めにされている傾向もあります。


シミュレーション例2:育休中のシングルインカム 変動金利 0.5% → 1.0%に上昇

次に、妻が育休に入ることを前提にしたシミュレーションです。変動金利で借り入れた場合のリスクを具体的に見ていきます。

シミュレーション条件:

  • 借入額:4,000万円
  • 金利:0.5%(変動金利) → 将来1.0%に上昇
  • 返済期間:35年

毎月の返済額(0.5%):103,834円

毎月の返済額(1.0%に上昇):112,914円

変動金利は当初の金利が低いため、借入直後の返済額を抑えられるのがメリットです。しかし、金利が上昇すれば、月々の返済額が増加し、育休などで収入が減少しているタイミングでは家計の圧迫リスクもあります。

重要: 変動金利を選ぶ場合は、将来的な金利上昇リスクに耐えうる家計体力と貯蓄の備えが必須です。


変動金利と固定金利のどちらが向いている?

変動金利: 金利が低い時期に恩恵を受けられますが、将来の金利上昇に備えた余裕が必要です。

固定金利: 金利変動の影響を受けないため、収支の安定を重視したい方に適しています。

ポイント:変動金利は「返済に余裕がある世帯」向け、固定金利は「予測可能な返済を重視する世帯」に向いています。

次は、ボーナスカットや車の買い替えなど、ライフイベントによるリスクを想定した返済シミュレーションを紹介します。

返済期間短縮のシミュレーション

住宅ローンは長期間にわたる返済が必要なため、少しでも早く完済したいと考える方も多いのではないでしょうか。ここでは、繰上げ返済によって返済期間を短縮した場合の効果について、シミュレーションを交えて解説します。

繰上げ返済で期間短縮した場合のシミュレーション

  • 借入額:4,000万円
  • 金利:1.5%(固定金利)
  • 返済期間:35年(420ヶ月)
  • 返済方法:元利均等

通常の返済:
月々の返済額:122,473円
総支払額:約5,143万円(※CASIOローンシミュレーション使用)

繰上げ返済で30年(360ヶ月)に短縮:
月々の返済額:138,048円
総支払額:約4,970万円(※CASIOローンシミュレーション使用)

結果: 約173万円の利息軽減

月々の支払額は増えるがトータルでお得に

月々の返済額は約1.4万円増加しますが、返済総額は約173万円軽減されるため、無理のない範囲であれば非常に効果的です。

  • 期間短縮型:月々の返済額は上がるが利息削減効果が高い
  • 返済額軽減型:月々の返済負担は下がるが利息軽減効果は控えめ

どのタイミングで繰上げ返済すべきか?

繰上げ返済は早期に実施するほど利息削減効果が大きいです。特に、ボーナスなどを活用して10年以内に返済短縮するのがおすすめです。

また、住宅ローン控除の終了時期(10〜13年)にあわせて繰上げ返済を行うのも有効です。

生活防衛資金や教育資金も踏まえたうえで、無理のない範囲で繰上げ返済を検討しましょう。

ボーナス返済シミュレーションの落とし穴

住宅ローンの返済計画においてボーナス返済を取り入れる方は多く見られますが、そこには見落としがちなリスクも潜んでいます。ここでは、「ボーナスがゼロになったらどうなるか?」という視点でシミュレーションを行います。

ボーナス返済のメリット

  • 月々の返済額を抑えられるため、日常の家計にゆとりが生まれやすい
  • まとまった金額で元金が早く減るため、利息負担が軽減される可能性がある

ボーナス返済のリスク

  • 会社の業績悪化や個人の事情により、ボーナスが支給されない可能性
  • 教育費・レジャー費などと重なりやすく、返済負担が増すリスク

シミュレーション:ボーナスがゼロになったら?

シミュレーション条件:

  • 借入額:4,000万円
  • 金利:1.5%(固定金利)
  • 返済期間:35年(420ヶ月)
  • ボーナス返済:15万円 × 年2回(年間30万円)

通常時(ボーナスあり)の月々返済額:113,048円

ボーナスがゼロになった場合:
年間30万円 ÷ 12ヶ月 = 25,000円増加

月々の返済額:113,048円 → 138,048円

総返済額:約4,970万円(※CASIOローンシミュレーション使用)

対策:ボーナスは“繰上げ返済”として使うのも有効

不確実なボーナスに頼るよりも、日常の返済は月収で完結し、ボーナスは繰上げ返済に充てることで、安定した家計運営が可能になります。

たとえば、年間30万円を繰上げ返済に充て続けることで、期間短縮や利息軽減といったメリットも享受できます。

重要:ボーナス返済を採用する場合は、「最悪、ボーナスがゼロになっても返済可能か?」を常に意識しておく必要があります。

実際のデータから見るリアルな返済シミュレーション

ここでは、筆者自身が作成・運用しているGoogleスプレッドシートによる住宅ローン返済シミュレーションをもとに、1年間の家計収支をモデル化してご紹介します。

住宅ローンを無理なく返済できるかは、シミュレーション上の数字だけでは判断が難しく、実際の家計データに即して試算することが極めて重要です。

今回のモデルケースでは、以下のような前提条件で試算を行いました。

  • 住宅ローン返済額:122,473円/月(※CASIOローンシミュレーションを使用)
  • 生活費:200,000円/月(食費・光熱費・通信費・保険など)
  • 世帯手取り月収:夫260,000円/月 + 妻120,000円/月(育休中の給付)
  • 児童手当:15,000円/月

実際の1年間(2025年4月~2026年3月)の収支バランス:

世帯収入住宅ローン返済生活費児童手当月間収支
2025年4月380,000円122,473円200,000円15,000円+72,527円
2025年5月380,000円122,473円200,000円15,000円+72,527円
2025年6月380,000円122,473円200,000円15,000円+72,527円
2025年7月380,000円122,473円200,000円15,000円+72,527円

このように、「住宅ローン返済+生活費」に対して、十分な収入が確保されているかを確認することができます。

さらに、児童手当のような副収入をあらかじめ組み込んでおくことで、将来の支出増加(教育費・車の買い替えなど)にも柔軟に対応できます。

ポイント

  • 児童手当は制度改正の影響を受けることもあり、必ずしも満額支給されるとは限りません。
  • 育休中の手取りは一時的なものであるため、復職後の見通しを立てた上で家計を構築することが重要です。

リアルな家計シミュレーションを行うことで、「あとから気づく失敗」を未然に防ぎ、計画的な住宅ローン返済が可能になります。

Googleスプレッドシートなどのツールを活用すれば、誰でも同じように再現可能な家計分析ができます。ぜひ、ご自身でも取り組んでみてください。

まとめ:住宅ローン返済シミュレーションで未来の家計を守る

住宅ローンは、数十年という長期にわたって返済が続く人生最大の契約です。その成功と失敗を分けるカギは、事前のシミュレーションにあります。

住宅ローン返済シミュレーションは、将来の家計を守るためのナビゲーションツールです。

本記事でご紹介したように、シミュレーションを活用することで以下のような効果が得られます。

  • 借入額・金利・返済期間の設定に応じて、月々の返済額や総返済額を事前に把握できる
  • ボーナスカット・教育費ピーク・金利上昇などのリスクを織り込んだ家計管理ができる
  • 繰上げ返済や返済期間短縮の効果を具体的な数字で確認できる

そして何より大切なのは、「この返済計画で本当に家計は持続可能か?」という不安を数字で可視化できることです。

計算が苦手な方でも問題ありません。
金融機関の無料ツールやGoogleスプレッドシートを活用すれば、誰でも簡単に現実的な試算が可能です。

ぜひこの記事をきっかけに、あなた自身の住宅ローン返済シミュレーションを実践してみてください。

「今だけでなく、未来の安心」まで見据えた住宅ローン計画こそが、後悔しない家づくりの第一歩です。

まだシミュレーションを試していない方へ

以下のリンクから、筆者が実際に作成した住宅ローン返済シミュレーションのテンプレートを活用できます。実際の家計シミュレーション表を自由に閲覧・コピーできます。
自分の収入・支出に合わせてカスタマイズし、将来に備えた計画を立てましょう。

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